【ウィリアム・シェイクスピア】マクベスのあらすじ、解説。マクベスが伝えたい欲望の行き着く先

『マクベス』のあらすじ・解説

１．物語の要点と争点

『マクベス』は、スコットランドの将軍マクベスが3人の魔女に遭遇し、「王になる」との予言を受けることで始まる。彼は王の座を手に入れるためにダンカン王を殺害し、権力を掴むものの、次第に精神的なバランスを崩していくことが描かれている。彼の欲望は、破滅的な結果を招くことで我々に警告をしている。

この物語は、欲望、道徳的責任、孤独、そして運命への挑戦といったテーマを含み、マクベスがその欲望に押し流される姿を見せることで、読者に強いメッセージを伝えている。

2.欲望と破滅のプロセス

マクベスの欲望は、彼を道徳的な誤りへ導く重要な要素となります。彼は最初、王になることを望む普通の人間でしたが、予言によってその欲望が膨れ上がります。彼は信頼していた友人バンクォウを裏切り、次第に冷酷さを増していきます。この過程で彼の人間性はほとんど消失してしまい、それがもたらす孤独感や不安が物語に緊張感を与えます。

3.マクベスの内的葛藤

マクベスは、ダンカン王を殺害した後、彼の心に芽生えた罪悪感と恐怖に苦しみます。彼は「夢にうなされ、思い悩む」状態に陥り、魔女の予言に従うことで「運命」に逆らうことができない無力感を抱えます。彼の精神的な混乱は、セリフや行動からも明白で、観客は彼の心の葛藤を深く感じ取ることができます。

4.孤独感と共感の形成

物語が進むにつれて、マクベスは人間関係や友情を犠牲にし、自己の孤独を絶えず感じるようになります。この孤独感は、彼が選んだ道がもたらしたものであり、彼の選択の結果として強調されています。他者とのつながりの重要性や、自身を見失ったときの喪失感は、現代の観客にも深く共鳴します。

5.マクベスの最期とその影響

物語の結末では、マクベスが自らの行動の結果として崩壊していく様が描かれます。彼の運命は待ち受けており、最終的には孤独が彼の身を滅ぼす要因となります。具体的には触れませんが、彼がどのように自己の運命を受け入れることになるのか、そのプロセスは重要なメッセージを持っています。

6.力と権力の代償

この物語は、権力を得ることの代償を描くものであり、特にマクベスの冷酷さや残忍さが目立ちます。彼は欲望を満たすために、最も大切なものを失い、その結果、自身の精神をも破壊してしまいます。このことは、サルトルの存在主義に通じるテーマであり、選択がもたらす責任について考えさせられます。この教訓は、我々現代人にも当てはまるものであります。

7.心の平和を取り戻すために

物語を通じて、マクベスの人生の選択がどれほど自己の心を重くし、平和を失わせるかが示されています。彼のように孤独感に苛まれることは、我々にも共通の経験であり、自己の内面を見つめ直すきっかけとなります。孤独感を緩和するためには、自己探求が必須であり、他者とのつながりを再構築する過程が重要です。これが内面的な成長と幸福に繋がることを、我々に教えてくれます。

『マクベス』のキャラクターたち

1. マクベス

マクベスは物語の中心となるキャラクターであり、彼の性格は物語を通じて大きく変化します。彼はオープニングで勇敢な戦士として描かれ、名誉を重んじながらダンカン王への忠誠を維持している人物です。しかし、魔女たちの予言を聞いた後、権力への欲望が芽生え、彼の内面に潜む野心が表面化します。このような野心は、彼を堕落へと導く要因となります。

物語の進行に伴って、マクベスは仲間であるバンクォウを裏切り、ダンカン王を殺すという恐ろしい行為に出ます。これにより彼のキャラクターは冷酷で計算高い人物へと変化し、最終的には孤独と狂気に陥っていきます。彼は自らの選択によって、権力を手にした者の悲劇を体現し、その結果、最後には自己崩壊へと至るのです。

2. レディ・マクベス

レディ・マクベスは、物語においてマクベスに強い影響を与える人物であり、彼女自身も野心的で冷酷な性格を持っています。彼女はマクベスに対し、王になるためにダンカンを殺すよう促します。開かれた心でマクベスの内なる恐れを掻き消そうとし、「女らしさ」を捨て去る願望を持つ彼女の姿は、観客に強い印象を与えます。

しかし、物語が進むにつれて彼女の精神状態は悪化し、最後には自己崩壊します。もともと自分自身と向き合う力を持っていた彼女が、最終的には罪の意識に押しつぶされる姿は、マクベスと同様に権力の代償を如実に示しており、彼女の運命もまた物語のテーマに深く関連しています。

3. バンクォウ

バンクォウは、マクベスの親友であり、彼の行動に対する警告の存在です。彼は魔女による予言の中で「王となる者たちの父」とされるが、自身はマクベスのように権力への欲望に溺れることはなく、道徳的価値を重視します。バンクォウの姿は、友人に対する忠誠心を持ちながらも、権力がもたらす危険を理解している点にあります。

バンクォウの死は、マクベスが完全に道を誤ったことを象徴しており、彼の選択が周りの人々にも影響を与える結果を引き起こします。バンクォウが毎回口にする慎重な言葉は、マクベスに対する良心の声として響き渡り、観客には彼の投影として、真の友を失ったマクベスの苦しみを感じさせる構造がなされています。

4. マクダフ

マクダフは、物語の中でマクベスに対抗する役を担うキャラクターであり、彼の理想は高潔さと道徳の象徴です。マクダフは、マクベスの行為に対して正義を求め、家族を失った悲しみから復讐心を燃やします。彼のキャラクターは、忠誠心や道義を重んじる姿があり、最終的にはマクベスを打倒するために戦闘に挑む決意を見せます。

彼の復讐心は、物語において重要な転機をもたらし、彼がマクベスとの対決に至ることで正義が示されます。マクダフのキャラクターは、スコットランドの復興に重要な役割を果たしており、道徳的選択がこの物語における勇気の象徴となっています。

5. ダンカン王

ダンカンは善良な王として描かれ、彼の無邪気な性格は物語の初期段階でのマクベスの名誉を強調しています。彼はマクベスに高い信頼を寄せ、スコットランドを治めるために公正な判断を下します。しかし彼の信頼は裏切られ、マクベスの野望によって命を奪われる悲劇の象徴でもあります。

ダンカンの突然の死は、物語全体に暗い影を落とし、マクベスが進む道の不幸を決定づける瞬間です。彼の死は、権力の悪用がもたらす結果と、良いリーダーシップの重要性を強調し、観客に強いメッセージを送ります。

6. 魔女たち

魔女は、『マクベス』の物語の神秘的な要素を象徴しており、運命と選択に対する暗示を与え続けます。彼女たちは予言でマクベスを導き、その結果として彼の道徳性を粉砕していきます。また、彼女たちの登場は、物語全体に不安感をもたらし、悪の存在感を際立たせます。

魔女たちの言葉がマクベスの運命を変える様子は、彼が自らの選択を自主的に行っているかに見えて、実は運命に操られていることを暗示しています。このような双方向の関係は、彼を絶望に導く重要な要素となっています。

7. セイトン

セイトンは、マクベスの側近として彼の決断を助け、彼の行動を影で支えるキャラクターです。物語の後半では、マクベスの心の混乱が深まる中で、彼の忠誠心に基づく行動が重要となります。一方で、セイトンもまた、マクベスの運命を左右する存在となることは否めません。

物語の終焉に向けて、セイトンの存在はマクベスの崩壊を暗示し、彼の行動が他者の人生にいかに影響を与えるかを示しています。セイトンの役割は、マクベスの精神的な支えであり、同時に彼の堕落の象徴でもあります。

参考：勝手に「マクベス」の性格をビッグファイブ分析で評価予測

1. 外向性 (Extraversion): 4/10

物語の冒頭で彼は、王のために戦う名将として描かれており、高い自己信頼のもとに戦闘に臨んでいます。フィールドでの彼の勇敢な行動は外向的な特性を示していますが、魔女たちの予言を聞いた後、その自己中心的な欲望が高まり、他者との関係よりも自己の野望を優先するようになっています。彼の外向性は徐々に内向的な側面にシフトしており、人間関係が破壊された結果、孤独に苦しむのです。

2. 情緒安定性 (Neuroticism): 9/10

マクベスは、ダンカンを殺した後、自己を責めており、罪悪感と不安で常に心が揺れている様子が描かれます。彼は「夢にうなされ、思い悩む」状態になり、次第に精神的な不安が彼の行動や選択に悪影響を与えることになります。彼の研ぎ澄まされた神経の崩壊による苦痛は、物語全体を通じて彼の運命を大きく影響します。

3. 開放性 (Openness to Experience): 6/10

彼は魔女たちの予言に感化され、自らの運命を変えるために一歩踏み出しますが、その後に自分が選んだ道の恐ろしさに直面することになります。彼の野望は一時的に彼を刺激し、新たな経験を求める姿勢が見られるものの、選択から生じる恐怖や不安が彼の行動に制限をかけるようになります。このような相反する感情が、彼の内面的な葛藤を深めています。

4. 協調性 (Agreeableness): 3/10

マクベスは、友人であったバンクォウを裏切る行動をとり、自身のアジェンダを優先します。彼は他者との関係を破壊し、自身の欲望を満たすために冷酷な選択をします。このような行動は、彼の協調性の低さを強調し、人間関係を損なう結果に至ってしまいます。彼の無関心な姿勢は、物語全体のトーンに対して大きな影響を与えています。

5. 誠実性 (Conscientiousness): 5/10

マクベスは、物語の初期には比類なき忠誠心を示しますが、ダンカン王を裏切ることでその誠実性は崩壊します。彼は自らの道を選び、一時的には自己の意思を貫こうとしますが、最終的にはそれが自らの精神に対する裏切りとなることに気づきます。このように、彼の誠実性と願望が対立し、物語の進行とともに複雑な心理が展開されます。

主人公の「マクベス」を掘り下げる１２の質問

管理人のシタテが考えた１２の質問に対し、マクベスが答えたらどんな反応をするのか？

管理人のシタテが妄想した結果・・・・・・・

質問１:「あなたが今までに経験したことで、最も感謝しているエピソードは何ですか？その背後にいる人物は誰ですか？」

マクベス
ああ、友よ、私が最も感謝している出来事は、戦場で名誉ある勝利を収めたときだ。私がダンカン王の信任を受けた時、その期待を裏切らずに戦ったことは特別な意義を持つ。私の後ろには、心強い仲間たち、特にバンクォウがいて、彼の善意と知恵は私にとっての道しるべとなった。そして、彼との友情こそ、私を支えてくれた唯一の頼みの綱だった。しかし、その絆が私の破滅を招くとは、当時の私は思いもよらなかった。

質問２:「あなたの物語を進むにあたり、未来について一つだけ知ることができるとしたら、何を知りたいですか？」

マクベス
もし未来を知ることができるなら、いつ僕の運命が尽きるのかを知りたい。魔女たちが与えた予言が真実かどうか、そして、どのようにこの物語が終息するのか、本当に知りたい。もしもこの問いに答えが得られれば、恐れずに進む勇気が持てるかもしれない。しかし、運命の真実を知れば、逆に恐れから逃れられないかもしれない、その葛藤があるんだ。

質問3:「あなたを動かす最大の動機と、その際に直面することがある弱点は何ですか？」

マクベス
僕を動かす最大の動機は、王位への欲望と、名誉と恐れからの解放だ。我が心の奥底で、マクベスとしての運命と、私を捨て去りたいという衝動が激しくうごめいている。ただし、私には弱点がある。それは、私の過剰な野心だ。権力への渇望が私を狂わせ、他者との関係を壊す原因となる。私の直面する恐怖は、愛する者を失うこと、そして自らの心が崩れてしまうことだ。

質問4: 「あなたがこれまでに経験した、最も厳しい挑戦は何でしたか？その経験はあなたにどのような教訓を与えましたか？」

マクベス
私の人生で最も厳しかった挑戦は、ダンカン王を殺すという決断を下したときだ。一瞬の軽率な瞬間が、私の全てを変えてしまった。その決断はすべてを失う瀬戸際へと私を導き、よく考えれば私の精神が完全に崩壊する原因であったと気づくようになってしまった。この経験から、私は中途半端な決断がもたらす恐怖と責任を学んだ。それは、選択がもたらす結果の重さを感じさせ、決して軽視してはいけない課題であった。

質問5: 「あなたが経験した最大の悲しみは何で、それはあなたにどのような影響を与えましたか？」

マクベス
私の最大の悲しみは、親友バンクォウの死である。彼は私にとって兄弟のような存在であり、我が心の中で常に希望の象徴だった。私が彼を裏切り、殺すことを選んだことで、私は自らの選択の重さを思い知らされた。この悲しみは私に深い苦痛をもたらし、その結果、自己崩壊に向かう道を選んでしまった。もう二度と心を開くことができないのではないかと恐れ続けている今、私の心の闇はますます深まっている。

質問6: 「あなたが物語の中で出会うことができるなら、どんなキャラクターに会いたいですか？その人物はあなたに何を教えることができますか？」

マクベス
僕はダンカン王に会いたい。彼の優雅さと善良さは、今の僕に欠けているものだからだ。彼から学べることは多い、特に儒雅さや無私に生きることの大切さだ。彼の前で自らの過ちを認識し、真の正義が何であるかを理解する手助けをしてほしいと思っている。

質問7: 「あなたの心を動かす最大の欲望は何ですか、そしてその欲望を実現するためにどのような行動をとりますか？」

マクベス
僕の最大の欲望は、王としての権力を手に入れることだ。この欲望を実現するために、僕は恐ろしく冷酷な行動に出ることになった。友人を裏切ることや、罪の意識をいとわずに進む道を選ぶことも、すべては権力の頂点に立つためだ。しかし、自分にかけるこの暗い影が、心の深い部分でさらなる孤独と恐怖を生んでいるのを理解している。

質問8: 「あなたにとっての完璧な一日はどのようなものですか？その日に起こることを詳細に教えてください。」

マクベス
完璧な一日は、全てが整い、穏やかに権力を手に入れることができる日だ。朝日が昇るとともに、穏やかな空気の中で民と共に祝を交わし、友と語らうことができれば、何よりも望むものだ。それから、安らかな心で輝かしい未来を描きながら、スコットランドの未来について華やかに語り合い、夜には心安らかに飲み交わすことができれば、完璧だと感じるだろう。

質問9: 「あなたが最も心を開放し、自由を感じる瞬間はどのような時ですか？」

マクベス
心が開放され、自由を感じる瞬間は、仲間と共に戦っているときだ。戦場では、全ての恐怖を忘れて、一体感を感じることができる。しかし、今はその感覚も失われてしまい、皮肉にも、権力を手に入れるための手段が私の自由を奪ってしまっている。今や、振り返ると私の欲望がもたらした刃が、私自身を深く傷つけていることに気づくんだ。

質問10: 「もしあなたが選べるとしたら、永遠に若々しい心を持つことと、決して衰えない体力のどちらを選びますか？」

マクベス
もし選べるなら、永遠に若々しい心を持つことを選ぶ。なぜなら、豊かな想像力と情熱は、どんな逆境にも立ち向かう力を与えるからだ。たとえ身体が衰えても、心が若いままであれば、自らの運命を信じ、希望を失わずに生きていけると信じている。心の自由さを失わない限り、たとえ肉体が弱っても、私の意志は強く残ると信じている。

質問11: 「これまでの人生で、あなたが最も価値を見出してきた瞬間は何ですか？また、それはあなたにどのような意味を持ちますか？」

マクベス
僕が最も価値を見出してきた瞬間は、ダンカン王からの信頼を得た瞬間だ。彼の下にいることで、自らの名声を築く機会を得た。また、私の忠誠心が彼の信頼に応えるための原動力であり、すべての栄誉が彼によって与えられたものだ。その日、私はサッカーのようなものを感じていた。名誉と忠誠の象徴である王の信任を受け、その立場から国のために尽力できる喜びを体験したんだ。

質問12: 「あなたにとっての真の友情とはどのようなものですか？また、あなたの人生において友情が果たす役割は何ですか？」

マクベス
真の友情は、支え合い、理解し合うことだ。特にバンクォウとの友情は、私の精神的な安定を保つための大きな力だった。しかし、私が彼を裏切ったことで、その絆が完全に破壊されてしまった。友情は、「助け合い、共に成長する」関係であるはずなのに、それを壊してしまった自分が許せない。今、心の奥底で彼の声が聞こえるようで、私を責めているかのようだ。

どうですか？あなたは「マクベス」の素顔を想像することができましたか？？