「読書という対話」の記事一覧

プロローグ：砂漠のまんなかで見つけた、たいせつなもの 砂漠に不時着した飛行士が出会ったのは、金色の髪をした小さな王子だった──。 『星の王子さま』は、サン＝テグジュペリによる不朽の名作であり、「ほんとうにたいせつなことは、目には見えない」という一節で多くの人の心を揺さぶってきた。 こ…

プロローグ：時間を盗まれた街と、灰色の人たちの不在 夕暮れ時の公園ベンチに座ると、ふと思い出すのは「灰色の男たち」。ミヒャエル・エンデの『モモ』で、時間泥棒として描かれた彼らの姿が、まるで現代のSNSやAIが奪い去る「ほんとうの時間」のように見える。本記事では、『モモ』のあらすじと登…

プロローグ：「吾輩は猫である」に映る、現代人の孤独とアイデンティティ カップのコーヒーは冷えきっていた。夜更けにぼんやりと読み返したのは、夏目漱石の『吾輩は猫である』。100年以上も前に書かれた作品が、なぜか今の自分のことのように響いてくる。──この感覚は、なんだろう。 本記事では、『…