「投稿者: シタテ」の記事一覧

ヤーコプ・ブルクハルト（1818-1897）は、スイス・バーゼルで生まれた歴史家であり、文化史研究の先駆者として「歴史の森を歩む詩人」とも称される。彼はヘーゲルの「世界精神」史観に異議を唱え、人間の創造性と精神の多様な側面が織りなす歴史像を打ち立てた。その代表作『イタリア・ルネサンスの文…

聖書の中で最も感動的で心に響く瞬間、「最後の晩餐」は、イエス・キリストが弟子たちと共に過ごした特別な時間です。 この神聖な食事は、ただの歴史的記録ではなく、神と人との新たな契約の始まり、そして自己犠牲の愛を象徴する奇跡の瞬間として、2000年以上にわたり多くの信者の心に深く刻まれてい…

ヨハン・ホイジンガ（1872-1945）は、20世紀において中世文化史の再定義と「ホモ・ルーデンス（遊ぶ人）」の概念を提唱し、歴史学に革新的な視点をもたらしたオランダの歴史家である。彼は歴史を、単なる過去の出来事の羅列としてではなく、人間の遊び心や創造性が紡ぐ文化的パターンの交響曲として捉…

リュシアン・フェーヴル（1878-1956）は、フランスの歴史学における知の革命家であり、アナール学派の先駆者として、従来の「過去の記録」を超え、「人間精神の解剖学」として歴史を再構築した。彼は、地理学、心理学、経済学といった異分野の知見を融合し、歴史を「知の星座」として捉えることで、文…

アルバート・バンデューラは、他者の行動の観察を通じた学習（社会的学習理論）と、個人が自らの能力に対して持つ自信（自己効力感）を軸に、行動心理学の枠組みを根本から革新しました。 彼の理論は、単に直接的な経験だけではなく、模範となる他者の行動からも学ぶことが可能であるという、相互決定…

旧約聖書の士師記に記されている「サムソンとデリラ」の物語は、人間の強さと弱さ、欲望と忠誠、傲慢と謙遜、そして最終的な贖罪というテーマにおいて、時代を超えた洞察を提供しています。超人的な力を持ちながらも致命的な弱点を抱えた英雄と、策略に満ちた誘惑者、そして背景で働く神の摂理が絡み…

マルク・ブロック（1886-1944）は、20世紀フランス歴史学において革命をもたらした知の巨人である。彼は従来の政治史・外交史中心の歴史観を打ち破り、社会構造、経済活動、集団心理など、歴史のあらゆる側面に光を当てる新たなアプローチ「アナール学派」を創始した。リヨンで生まれたブロックは、古…

エリク・H・エリクソン（1902-1994）は、「アイデンティティ」の概念を創出し、人間の生涯を8つの発達段階として体系化した20世紀を代表する発達心理学者です。 フロイトの精神分析理論を生涯発達の視点で拡張し、各年齢段階で人間が直面する「心理社会的危機」に着目しました。複雑な出自と二重の差…

創世記に記された「カインとアベル」の物語は、聖書の中でも最も古く、普遍的なテーマを内包する物語の一つです。人類最初の殺人という悲劇を通して、嫉妬、怒り、暴力、そして罪の結果という人間の根本的な問題が描かれています。また、神の裁きと憐れみ、人間の自由意志と責任、さらには贖罪の可能…

日蓮の思想と生涯：末法の世に燃え上がる法華経の松明 日蓮（1222-1282）は鎌倉時代の僧侶であり、日蓮宗の開祖として、その生涯と思想は「南無妙法蓮華経」という題目唱和を中心に展開され、末法の時代における唯一の救済の道を説きました。彼の熱烈な信念と、迫害に耐えながらも正法を広めようとす…